■はじめに
筆者は大正期から昭和前期の日本航空史に興味があり、そのための収集情報源の1つに写真や絵葉書があります。
その絵葉書を改めて見直すと、映画スターのブロマイドのように、綺麗な写真絵葉書がシリーズになっているものがあることに気づきます。恐らくこれらは市販品だったと考えられます。
『航空博物誌』(『飛行機千一夜』改題、野沢正、2002年11月)でも、飛行場近くの写真館、銀座や神田のブロマイド屋で売られていたと記載があります。
■航空ブロマイド
ブロマイドとは、大正9年に発売された日活の尾上松之介が第一号とされ、浅草のマルベル堂がコレクション商品化して世に広まったとされています。
当時、ブロマイド版と云われる印画紙(臭化銀を感光剤として用いたBromide 紙)があり、マルベル堂ではそれを使った商品を「プロマイド」と称していたようです。
マルベル堂のそれには映画スターが収められていましたが、本ページで扱うブロマイドには飛行機(航空機)が収められています。雑誌『航空時代』の昭和7年10月号には、木村秀政氏の「飛行機写真蒐集」記事内で伊藤酉夫氏を筆頭に収集家が取り上げられブロマイドの話が出てきており、蒐集家の対象物であったことが窺えます。その伊藤氏については、雑誌『航空朝日(昭和16年1月号)』に14,417枚の絵葉書蒐集のインタビュー記事もあり、氏のコレクション中にはここで取り上げる航空ブロイマイドも入っていたでしょう。また、野沢 正氏による『日本航空機辞典』には、多くのブロマイドと同じ写真を見ることができます。
■本ページの目的
筆者が収集するブロマイドは愛国号や立川飛行場関連など限定的対象ですが、蒐集できたハガキ判ブロマイドがあります。
本ページは、それらハガキ版ブロマイドをデータベース化することで、航空史に資することを目的としたものです。